Monthly Archives: June 2012

IJETの音声入力セッションについてのコメント・感想

昨日の記事の続きです。セッションで出てきた会場からの質問についてここでコメントしておきます。

Q: 音声入力を使うメリットがあるのか、導入が大変そうだが楽になるのか?

会場でもコメントしましたが、私の場合腕の痛みに不安があったことから、かなり早くから(最初に使ったのはドラゴンVer.3)音声入力に関心があり、時間がある時に少しずつ触ってみるようにしていました。その後急激にRSIの症状が悪化してキーボードやマウスを使える状態でなくなってしまった時、職場で音声入力を導入することによりフルタイムの勤務を続けることができました。これがなかったらその時点で翻訳者生命は絶たれていたと思います。スムーズに音声入力に移行できたのは、それ以前から試用していたためある程度使い方に慣れていたことが大きな理由です。

正直日本語音声入力を使うことでキーボード入力に比べて効率が向上するという事はないと思いますが、キーボード入力ができない状況では強力な助っ人になります。仕事をしていて腕の疲れや痛み、重症の肩・首の凝りに不安を感じているという人は、まだキーボードを使える今のうちに音声入力を導入することで、いざという時に救われるかもしれません。古い記事ですが、こちらの体験記も参考にしてください。

Q: 音声入力だと声を酷使することにならないか?

RSI対策として音声入力を導入したら喉を壊した、という話はけっこうあります。RSI症状が出ている人は身体全体が常に緊張状態にあることが多く、そのため音声入力を使うと喉を傷めやすいようです。

対策としては、

  • 腹式呼吸で体の奥から発声するよう心掛ける(音楽や演劇でのボイストレーニングが有効)
  • 常に手元に水やお茶を用意し、ちびちびと頻繁に飲んで喉を潤す習慣をつける。私の経験では、一日中音声入力を使っていた時は勤務時間に2リットルぐらいは軽く飲んでいました。
  • キーボード入力と同様、音声入力の場合もこまめに休憩を取るようにする。上記に従って水を飲んでいるとトイレが近くなるので、これを利用してトイレに立ったついでに休憩を取り、ストレッチすると良いです。

Q: 情報収集や質問ができるようなユーザーコミュニティはあるのか?

英語ではSpeech Computing という大きなコミュニティがあり、私が音声入力を仕事に導入した時にはずいぶんお世話になりました。開発に関わった人が参加していたりして、質の高い情報が得られました。

また、Key Steps to High Speech Recognition Accuracyという文書は音声入力のバイブルとされていて、導入の際には必読です。RSI情報ドットコムこの文書の日本語版「ドラゴンスピーチ音声入力ガイド」(未完成)を掲載しているので参考にしてください(※リンク切れ修正しました)

日本語についてはやはりユーザー数が少ないため、コミュニティとして機能しているところはありません。以前「ViaVoiceメーリングリスト」というところに参加していたのですが、日本語音声入力で複数の選択肢があった時期でも、ほとんど利用者がいませんでした。もう消滅してしまっているようです。RSI情報ドットコムにも古い内容ですが音声入力関連情報を置いているので参照してください。質問も歓迎です。

セッションの感想コメント

予想はしていたものの、「日本語音声入力は使えない」という方向になってしまったのは残念でした。ああいうデモをやると、たいていは会場の環境の問題もあったりして通常より認識率が下がりますし、日本語入力は文字変換というプロセスがあるため、英語と比較するとどうしてももたもたした印象になります(おバカな日本語IMEを使い始めた初期の入力効率を英語のキーボード入力と較べるの同じようなもので、、音声だからというだけの問題ではありません)。

実際に日本語入力を仕事に使ったことがあるユーザーという立場から言うと、認識率は使えば使うほど向上します。また、話しながら訳文を考えるというプロセスも、最初は難しくてもやっているうちにけっこう慣れるものです。私の場合、メール等の作成より翻訳の方が高い認識率を達成できました。むしろ翻訳というプロセスと相性の良い技術だと思っています。

導入時のハードルは高いけれど、それは例えば初めて手書きからキーボード入力に移行した時や、フリック入力を始めた時のイライラとそれほど違わないもので、使っているうちに慣れるし、効率も上がっていきます。キーボードを捨てて音声入力に乗り換えよう!というのではなくても、併用という形で導入することで腕や肩への負担を軽減できRSI予防につながりますし、症状が悪化した場合のバックアップとしても期待できるので、興味のある方、痛みや凝り等で不安のある方はぜひ試してほしいと思います。

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IJETの音声入力セッション

Project Tokyo 2010でのプレゼン内容がまだ途中になっていますが、6月2~3日に広島で開催されたIJET-23(第23回 日英・英日翻訳国際会議)に参加した際、音声入力に関するセッションがあったので、それについてここに書いておきます。IJET参加者による実況ツイートのTogetterまとめもあるので、量が多いですが興味のある方は読んでみてください。

セッションの内容

セッションのタイトルは「音声入力ソフト活用における2つの盲点」。プレゼン発表者は福光潤さんという特許翻訳者。日本での特許翻訳は和文特許の英訳の仕事が多く、福光さんも英日・日英両方の翻訳に携わっていて、両方に音声入力を利用しています。また、プライベートではシンガーソングライターとしても活動しているとのこと。音声入力の導入に際しては、作業効率向上への期待の他、シンガーらしく「声でどこまでできるのか?」という興味も動機となっていたというような話をされていました。

福光さんが使用しているソフトは英語入力にNuance社のDragon NationallySpeaking(日本での商品名は「ドラゴンスピーチ」) version 11、日本語入力についてはNuanceではもう開発を行っていないこともあり、アドバンスト・メディア社のAmiVoice SPを使っているとのこと。私はAmiVoiceの使用経験がないので、そのあたりの話に興味があってこのセッションに参加しました。

ドラゴンの日本語版と英語版を同時に立ち上げることはできないのですが、福光さんのデモによるとドラゴン英語版とアミボイスは同時に起動させることができるようで、両方とも開けておいて必要に応じて切り替えながら同じファイルに入力していくことも可能とのこと。これは便利そうです。

セッションでは実際にソフトを立ち上げて入力するデモがありました。ドラゴンによる英語入力とアミボイスでの日本語入力。これを見た参加者のほとんどは、音声入力は英語には使えるが日本語は全然ダメ、使い物にならない、という印象を受けたのではないでしょうか。また福光さんの話も「それほど効率化にはつながらないが、技術的な興味から使っている」というような内容で、その印象を裏付けることになってしまっていたのがちょっと残念でした。

タイトルの「2つの盲点」とは、

  • ソフトに学習させる過程が必要なので、音声入力自体が目的になってしまう
  • 修正に集中力を注ぎ込むことになってしまう

という点だそう。個人的にはちょっとピンとこなかったのですが…。

その盲点に関しての福光さんのアドバイス(経験談)は、

  • 誤認識はつきものと割り切る。
  • 誤認識が出る都度修正するのではなく、数ページくらい一気にボイスレコーダーに録音して音声ファイルを作り、それを読み込ませてからまとめて修正をかける。

とのこと。後で参加者から「まとめて吹き込み方式は自分にはとても無理だから使えそうにない」という感想をちらほらと聞きました。

次回に続きます。)

私が新しいパソコンを買ったらまずやること。

ご無沙汰してました。5月17日から6月5日まで、1年半ぶりに日本に行ってました。

今回の日本行きはいろいろ目的があったのですが、そのひとつが仕事用メインマシンの買い替え。これまではデスクトップWindows XP機を使っていたのですが、今度は携帯できる軽量高性能ノートをドッキングして使う環境構成にしたいと思い、いろいろ考えた末、ついにWindowsを捨ててMacBook Airの11インチバージョンを買ってしまいました。Macを使うのはWindows 95の発売以来のことですが、まあWindows 7を買っても慣れるのにしばらく時間がかかるという点は同じなので、あまり違わないかと思った次第です。2週間ばかり使ったところですが、やはり私にとっては11インチがためらいなく外に持ち出せるサイズの限界だなあと思いました。

で、本題の「新しいパソコンを買ったらまずやること」。

「Macを買ったらまず入れるべきフリーソフト」系のリストはググれば山ほど出てくるので、普通に便利なソフトについてはそちらを参照していただければいいのですが、私の場合、まず一番最初に入れるのはいつもこれです。

RSIGuard

一言で説明すると「強制的にユーザーに休憩を取らせるソフト」で、類似のソフトは無料のものも含めて他にもあるのですが、このソフトの良いところはオートクリックという付属機能がついていること。クリックしたいところにカーソルを置くと、一瞬の間を置いて(時間は自由に設定できます)勝手にクリックしてくれます。マウス作業が原因で腕や首に痛みが出る人は非常に多いのですが、中でも痛みの原因になりやすいのがクリック動作なので、これを自動化するだけで作業が大幅に楽になります。もちろんマウスだけでなくトラックパッドやトラックボールとも併用できます。最近マウス作業が辛くてという方、トライアル期間もありますので是非お試しください。

メイン機能である休憩強制の方も、普段ポモドーロなどを使って作業時間の管理をしている人ならそれほど違和感はないかと思います。ストレッチエディションを買うと、休憩時間中に動画でストレッチの指導もしてくれます(笑)。

日本語版は残念ながら今のところありません。…って、私が作成者に協力を申し出ればいいんですよね^^; ToDoリストに入れておこう(笑)。

今回の日本行きの目的にはRSI関係の取材も入っていたのですが、その話はまたあらためて…。